14. 神経損傷高位の診断(ASIAの神経学的評価法)

神経学的検査(診断)

脊髄損傷においては、損傷レベル(損傷高位)の診断が不可欠です。

【損傷高位とは】

機能が残存している最下位の髄節名で表す。

key musclesとkey sensory pointを定めて、機能している筋と知覚の髄節を見極めて損傷高位を診断する。

例えば、Triceps(上腕三頭筋:C7)の筋力がMMT3で、そのすぐ頭側の筋力(手関節背屈筋)が4以上の場合、Tricepsは損傷されていない筋(髄節)として扱い、神経損傷高位はC7と診断する。

【損傷高位診断の方法】

1.ASIA(American Spinal Injury Association)の分類

国際的評価法として一般的に広く普及されている。

2.Zancolliの分類

元々は、手の機能再建術のために作成された分類法で、C5~C8の範囲を細かく分類している。




 

【ASIAの神経学的評価法】

ASIA神経学的評価表 記入例1

ASIAの神経学的評価法は、下表のMOTOR(運動)とSENSORY(知覚)の障害に応じたPointを記入し、MotorとSensoryの合計点で評価する方法である。

<MOTORのPointの記入方法>

①髄節C5~T1、L2~S1のKey Musclesを定め、各筋のMMTをPoint(0~5)として表中の髄節の空白部に記入する。表中、MotorのPointは右13点、左12点で合計25点である。

②髄節のKey Muscles(筋の後に実際の髄節支配を記載した)

  C5(肘屈筋群):上腕筋、上腕二頭筋(C5,6) C6(手関節伸筋群):長・短橈側手根伸筋(C6,7)

  C7(肘伸筋群):上腕三頭筋(C6,7,8)     C8(手指屈筋群):深指屈筋(第3指DIP屈曲)(C7~T1)

  T1(指外転筋):小指外転筋(C8,T1)       L2(股屈筋群):腸腰筋、他(L1~L3)

  L3(膝伸筋群):大腿四頭筋(L2,3,4)     L4(足関節背屈筋群):前脛骨筋(L4,5)

  L5(長趾伸筋群):長趾伸筋(L5,S1)       S1(足底屈筋群):下腿三頭筋(S1,2)

 例えば、肘屈筋群の上腕/二頭筋の実際の髄節はC5,6であるが、ASIA分類ではC5と定めている。他も同様。

③ Key Sensory Pointsは表14-2に示すように、C2~S5の各髄節にPointを決めてその点の触覚と痛覚を0~2の数値で表中の該当部に記載する。表中、触覚と痛覚のPointの合計は両方とも31点という結果でした。

④Motor、Sensoryとも、記入した数値の合計点を左右とも算出し、正常点数と比較することができる。

【Key Muscles と Key Sensory Points】

ASIAではKey Muscles と Key Sensory Pointsを定めている。

Key muscles & Key Sensory Points

 例えば、Elbow Flexors(上腕二頭筋、上腕筋)の髄節支配は実際にはC5,6であるが、ASIAでは、上腕二頭筋、上腕筋の支配髄節はC5というようにKey muscleとして定める。C5のKey muscleは上腕(二頭)筋、C7のKey muscleは上腕三頭筋という具合に単純明快に定めているのである。

 

【ASIA Impairment Scale】

障害の程度をA~Eの5段階で表したScale

ASIA,Impairment Scale,Journal of crinical reh.,1996,p169引用

 




Frankelの分類

完全麻痺と不全麻痺の重症度の分類であり、損傷高位の診断をする訳ではない。